そらいろちょっきり

生きもの見つけたりとかするよ

金色のオトシブミを求めて

こんにちわ、ぼこわたりです。

4月も半ばということでオトシブミの仲間を探しに行ってきました。

 

2019年4月20日 天気:晴れ

裏山にオトシブミを探しに行きました。

一番の目的はビロードアシナガオトシブミです。

ブナやイヌブナの新芽に合わせて出現し、

展開したばかりの柔らかい葉を使って揺籃を作ります。

ブナの新芽の出る春先の短い期間しか出会えないのと、

標高の高い涼しいところにしかブナやイヌブナは生えないので、

この時期に山に登らないと出会いないちょっとだけレアな虫です。

 

ただ、ビロードアシナガオトシブミ目的だけだと寂しいので、

他にもヒゲナガオトシブミやイタヤハマキチョッキリも探します。

今回の採集には漫画家の小原ヨシツグ先生(通称ヨシくん)とゴム犬さんが一緒です。

 

さて目的の裏山に到着後、山道を歩いていきます。

ヒゲナガオトシブミのホストのアブラチャンが所々生えていたので、

網で掬っていきますが全然網に入ってきません。

 

 

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なんでか知らないですけど山の中にヘラクレスオオカブトの死骸が落ちていました

自然死ならば脚は閉じるので、恐らく展脚されていると思われます。

しかし昆虫針を刺した形跡がないので、

針を刺さずに展脚だけしたものを落としたか捨てたかしたのだと思うのですが、

山の中にそれが落ちてるのは不思議ですね。

 

 

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ムネアカオオアリのワーカーです。

クロオオアリと並ぶ日本最大種ですが

確かに野外で見つけるとでかいですね。

陽にあたって赤い体が輝いて美しいです。

 

この日は朝から気温が低く、また時期的にもオトシブミのシーズンは

5月に入ってからが本番なので、

もしかしたら今日はオトシブミ見れないかもなぁなんて話をしていましたが、

ダメ元でアブラチャンの枝葉を掬っていたら、

 

 

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来ました!

ヒゲナガオトシブミの♂です。

オスは後頭部と前胸が長く伸びていて、まるで首が長いように見えます。

またヒゲナガの名前の通り触覚もかなり長いです。

艶々と飴色に輝くボディを網の中に見つけた時は、

思わず見つけたぁ!!と大声を出してしまいました。

 

 

 

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こんな感じの日当たりのよい枝先にくっついているようです。

 

 

 

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こちらはヒゲナガオトシブミの♀。

アブラチャンの葉に食痕がついていますね。

体の赤褐色が食草であるイタドリやアブラチャンの葉柄の赤と、

保護色になっているのかもしれませんね。

 

ここでヒゲナガオトシブミを4匹ほど採集し、

すぐ傍の イロハモミジの陽の当たっている部分の葉をガサガサすると・・・

 

 

 

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ドロハマキチョッキリの♂が網に入ってきました。

 この木は居るな・・・と思ったので続けて掬っていきます。

 

 

 

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こちらはイタヤハマキチョッキリでしょうか。

赤く輝いております。

 

 

 

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仮展脚中の写真になってしまいましたが、

イタヤハマキ、ドロハマキ、ファウストハマキチョッキリと

ハマキチョッキリ3種類が得られました。

色とりどりに輝く、まさにカエデの宝石。

 

 

さてここから本日の最大の目的、

ビロードアシナガオトシブミの生息地へと向かいます。

ブナの新芽を好んで揺籃にするので、ブナの生えているところへ行きます。

ブナは標高の高いところに生えているので、山を登っていくというわけです。

 

 

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エイザンスミレでしょうか。

半日影の斜面にちょくちょく生えておりました。

 

ここからは登山が思っていたよりきつかったので写真がありません。

今回の登山道は他のルートより急だったようで、

男3人で息を切らしながら登っていきました。

 

 

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どれほど登っただろうか・・・

突然目の前に現れたのは何度も事前に写真を見て予習してきた葉っぱ。

これがビロードアシナガオトシブミの食草であるイヌブナでは??

 

もうすでに半興奮状態ですが、

ドキドキする気持ちを抑えて葉を眺めていきます。

 

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ありました!!!

この枝の先っちょにくっついてる鼻くそみたいなやつ!

これこそがビロードアシナガオトシブミの揺籃でございます。

 

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一番先の柔らかい新芽の部分を揺籃にするという話は本当だったんだ・・・!

インターネットや図鑑で調べた情報通りでしたが、

自分で実際に目で見て確認するとそれだけで感動します。

 

揺籃があるということは・・・どこかに親がいるはず・・・!!

ここまで来たら親虫も見つけたいところです。

より慎重に葉を眺めていきます。

 

 

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君じゃない。

ウスチャジョウカイのようです。

自分より小さい昆虫を餌としているのでビロードアシナガオトシブミも食べているのかもしれません。

 

揺籃は巻かれてから時間が経っているらしく、

どれも表面はカサカサに乾いています。

もうすでに親虫はこの場にはいないのではないだろうか?

時期が遅すぎたのではないだろうか?

他のオトシブミやチョッキリの発生時期と重なるように少し待ったのが

裏目に出てしまったのか???

などの考えが頭をよぎります。

 

 

 

 

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いました!!!

やりました!1匹だけですが枝にしがみついております!

 

 

 

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光に当たると鈍く金色に輝きます。

夢にまで見たビロードアシナガオトシブミです。

 

 

 

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その後、別のイヌブナのひこばえでゴム犬さんも1匹見つけてくれました。

みんなで撮影会をしましたが、トコトコ元気に歩き回るので

撮影は苦労しました。

かなりの枚数写真を撮りましたがピントが合ってる写真がこれくらいしかありませんでした。

 

 

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こちらは交尾しているところを発見しましたが、

カメラを向けた途端に気配を察して離れてしまいました。

 

 

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こちらは出来立てほやほやの揺籃の上でしょうか。

オスとメスがくっついていました。

 

ひとつの場所にたくさんいるということはなくて、

むしろいないことのほうが多く、たまに1匹2匹見つかるといった感じで

個体密度はそれほど高くありませんでした。

シーズン終わりが近かったからかもしれません。

揺籃は200個近く見つけられたので、最盛期ならもっと親も見られるのかもしれないですね。

 

是非見てみたいと思っていたオトシブミを実際に見つけることができて

最高に嬉しい一日となりました。

 

一緒に付き合ってくれたヨシくん、ゴム犬さん、どうもありがとうございました。

 

ヨシくんの漫画、「ガタガールsp. 阿比留中生物部活動レポート」も

下のリンクからよろしくおねがいします!!

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それでは今回はここまで。

次回をお楽しみに!